ポスターの入稿データをそのままサイネージに流すと、たいてい読めません。 悪いのはデータではなく、紙とモニターで見る条件がまるで違うことです。 どこを作り直せばよいのか、どこは流用してよいのかを分けて整理します。
1. 見る距離と時間が違う
ポスターは足を止めて、1〜3mくらいの距離で見ます。 サイネージは通路を歩きながら、数メートル離れて、数秒だけ見ます。 同じ情報量を載せると、読み切る前に画面が切り替わります。
目安として、サイネージで確実に伝わるのは要素3つまでです。 機種名・日付・店名。それ以上は、止まって読む人にしか届きません。 スペックや注意書きはポスター側に残し、サイネージからは外します。
2. 縦横比が合わない
A1ポスターは 594 × 841mm、比率にすると約 1 : 1.42 の縦長です。 サイネージは 16:9(横長)か 9:16(縦長)がほとんどです。
横長の画面に縦長のポスターを入れると、左右に大きな余白ができます。 余白を嫌って引き伸ばすと、上下が切れていちばん大事な部分が消えます。 比率が違う以上、作り直すのではなく組み直すのが正解です。 素材は同じまま、配置だけ横組みに変えます。
紙とサイネージの作り分けも、まとめてお受けしています。対応内容を見る →
3. 紙は反射、モニターは発光
紙は光を反射して見えます。モニターは自分で光っています。 同じ色でもモニターのほうが明るく、強く見えます。
影響が出やすいのは2つです。ひとつは広い白背景。 紙では上品に見えても、光る画面では単にまぶしく、周りの照明とも喧嘩します。 背景は濃い色にして、文字を明るくするほうが読みやすくなります。
もうひとつは細い書体です。明朝体の細い線や、細めのゴシックは、 発光する背景に負けて飛びます。サイネージでは太めの書体を選びます。
4. 解像度が逆に足りなくなる
意外に思われますが、ポスター用のデータはサイネージには過剰で、同時に不足します。
フルHDのサイネージは 1920 × 1080。A1原寸のデータを画面サイズまで縮めると、 1文字あたりの画素数が大きく減ります。ポスターで10mmだった文字は、 縮小後に十数ピクセルしか残らず、細部が潰れます。
対策は単純で、画面のサイズで新しく組むことです。 文字は画面の高さに対する比率で決めます。目安として、 いちばん伝えたい文字は画面の高さの1/8以上あると、離れても読めます。
作り直すところ/流用してよいところ
| 作り直す | レイアウト全体(縦横比が違うため) |
|---|---|
| 作り直す | 文字の大きさ・書体の太さ |
| 作り直す | 背景の明るさ(白背景 → 濃色背景) |
| 減らす | 情報量。要素3つまでに絞る |
| 流用できる | 機種画像・ロゴ・キャラクターなどの素材 |
| 流用できる | 配色の考え方(明るさだけ調整する) |
| 流用できる | キャッチコピー(短くする場合あり) |
依頼するときに伝えると早いこと
- 画面が横(16:9)か縦(9:16)か
- 画面の画素数(フルHD 1920×1080 が多い)
- 設置場所と、見る人の距離(入口/通路/島端で全く違います)
- 1枚の表示時間と、何枚でループするか
- 元になるポスターのデータがあるか
ここに書いたのは一般的な考え方です。画面の明るさ、周囲の照明、 見る角度によって読みやすさは変わります。 可能であれば実機で一度確認することをお勧めします。